県教研2008 その2 [県教研報告]

7.光の世界(中1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松本明善中 寺沢一彦
水を張った洗面器や透明水槽で、底に置いたナットや、斜めに置いた物差しの見え方についてさまざまな方向から見て、反射や屈折について発見していく実践。実際に体を動かし見る位置を変えていくと、あるはずのものが見えなくなったり、1本の物差しが2本とか3本に見えたりすると、ちょっと感動である。また、重ねたコップの内側に絵を貼り付けて水に沈めると、コップの間に空気層があると中の絵は見えないが、水を入れていくと見えてくる。これも光の屈折による現象である。実験を通して生徒はいろいろな発見をしていくという点ではよかったが、それらをすべて説明しまとめるのは難しかったとのことであった。
8.光の反射(中Ⅰ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松本会田中 小椋純也
手鏡に映る自分の顔の像の範囲が、鏡の距離を変えることにより変わるのかどうかという実験を通じて、光の反射の法則を考えていく実践。鏡を離せば像は小さくなり広い範囲が映ると考える生徒が多いが、手鏡を使った実験から体育館の大鏡を使った実験を通して、顔や像の映る大きさ(範囲)は変わらないことを確かめていく。このあと作図による反射の原理を学んでゆくが、黒板に貼り付けた図の上でレーザーポインターを使って光路を見せると、反射の作図の意味がわかりやすいのではないかとの意見があった。また鏡に映る顔や姿の大きさ(範囲)は変わらないが、背景の範囲は鏡が近いほど広がる。これは視野の問題であるが、教科書にあるような簡単な実験でも、実際に教師がやってみることが大切とのコメントがあった。9.減圧チェンバーの制作(中Ⅰ)・・・・・・・・・・・・・・泰阜中   関健一郎
ビニールを使って生徒2~3名が入れる大きさの減圧チェンバーを作成した。中の空気を抜いていくとビニールの壁が内側に湾曲してきて、中の生徒は壁が外から大きな力で押されていることを知り、大気圧の大きさを体感する。当初ビニールの壁は抜いた空気に引っ張られると考える生徒が多かったが、チェンバー内に貼り付けた荷造り紐は空気を抜いてもたれたままで引っ張られていないことから、空気には押す力があることに気づいていく。さらに真空調理器の中に入れた風船が、減圧することによって膨らむことから、“空気が外から押す力”が小さくなったことを理解する。最後にクラス全体が大気圧の存在とその大きさを実感し納得するというようすが、感動的に報告された。
10.自己課題の解決に向けて-光の世界・凸レンズ(中1)・・・飯山第二中 中澤博之
光源ランプの像をスクリーンに映すために凸レンズをどこに置いたらよいかという実験を通して、実像ができる様子を作図する。この実験の中で生徒に自由にいろいろな実験をさせると、遊びながら様ざまな発見をする。たとえば“光路に置いたレンズ”の周囲にレンズを追加してみると、レンズの数だけ像ができることから、光が作図のように一方向だけに進んでいるのでなく、光源から周りに広がっていることを実感する。また、光源とレンズの間に手を差し入れると、スクリーン上で逆側から手の影が出てくることによって、問う立像の意味を改めて実感する、などである。共同研究者からは、理論はあとからついてくるので、いろいろとやってみることが大切とのコメントがあった。
11.ゾウリムシの観察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・野沢南高   北村秀夫
ゾウリムシの培養と観察のヒントの紹介。培養液をスライドグラスにとっても探すのが大変。そこで、ヒドラのえさのアルテミアをろ過して取り出し、与えたのにヒントを得て、ゾウリムシ培養液をろ過して使ったら多くの個体を簡単に取り出すことができた。また「培養液はわらの煮汁」というのが定番であるが、自然の中ではわらのないところでも生きているのだからと、枯れ草や落ち葉で試したところ、全く問題なく培養できた。
12.シロアリの不思議な世界 ・・・・・・・・・・・・・・・飯山北高   林 新
シロアリは建物への被害という面から厄介者扱いされている。しかし朽木などの中に普通に見られる身近な生物で、その教材としての可能性を紹介していただいた。①フェロモンの具体例として。ボールペンのインクにシロアリのフェロモン類似物質が含まれているので、ボールペンで書いた線の上をたどって歩くが、鉛筆の線ではそのようなことは見られない。②腸内細菌・微生物との共生の例として。③取り出した腸内原生動物を蒸
留水に落として観察すると、球状に膨らむ。これは浸透圧の実験として使えるのではないか。④地球の生態系を考える教材として。分解者として重要な役割を持っている。
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13.分子間引力による消しゴムの作成、他・・・・・・・・・・市立長野高  玉井 潤
ゴムの消しゴムは摩擦力によって鉛筆の線を消すが、プラスチック消しゴムでは分子間引力を利用している。ポリ塩化ビニル(PVC)をさらに高分子化したフタル酸ジオクチルの分子中にあるベンゼン環が、黒鉛の炭素の環状構造と似ているために分子間力によって吸着するとのこと。
自分で合成した消しゴムを分けていただいた。「花力発電」の研究の紹介。ソーラー発電に変わるものを作りたいということで、ハイビスカスの花の色素にレアメタル化合物を加えて、発電効率26.7%を実現したとのこと。現在特許出願中とのことで、詳しい内容は話していただけなかったが、近いうちに興味深い話をお聞きできるのではないかと期待している。
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